死亡による逸失利益には、稼働部分と年金部分とがあります。
稼働部分とは、働いて得る収入の部分のことです。
稼働部分の逸失利益の計算式は、次のとおりです。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

基礎収入とは、逸失利益を算定する基礎となる年収のことです。
労働災害(労災)の発生時における収入をベースに考えるのが原則となります。
しかし、若年者の場合には、将来の増収の見込みを考慮して全国平均賃金を参照することが多いです。

生活費控除率とは、労働災害の被害に遭って死亡したことで、将来得られるはずであった収入が失われる一方で、将来の生活費の支出がなくなることを考慮して、損害額の算定の際に一定割合を生活費分として控除するものです。
生活費控除率は、労働災害の被害者が一家の支柱であるか、被扶養者は何人であるか、一家の支柱でなければ男性であるか女性であるかなどによって、標準の数値があります。

就労可能年数とは、労働災害の被害に遭って死亡することがなければ、その後も働けたであろう年数です。
そして、ライプニッツ係数とは、労働能力喪失期間の年数に対して5%(民法で定められた法定の利率)の中間利息を控除した数値のことです。
逸失利益の賠償では、将来の減収をまとめて一括前倒しで受け取るために、このようなライプニッツ係数による調整を行うのです。

【計算例】

労働災害の発生時の年収が400万円、年齢が47歳の一家の大黒柱であり、被扶養者が2人いて、今後20年間の就労が見込まれるところ、労働災害の被害に遭って死亡してしまったというケースで、稼働部分の逸失利益を計算してみます。
一家の大黒柱で被扶養者が2人以上の場合の生活費控除率は、30%が標準の数値です。
就労可能年数が20年間であるとして、20年に対応するライプニッツ係数は、12.4622です。
このケースで稼働部分の逸失利益を計算すると、次の計算式のとおり、3489万4160円となります。

400万円×(1-0.3)×12.4622=3489万4160円

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?