弁護士山口龍介

労働災害(労災)の被害者は、労災保険の給付を受けた場合であっても、会社側に安全配慮義務違反または不法行為(使用者責任)が認められるときは、会社に対して損害賠償を請求することができます。

労働災害の被害者への補償としては、まずは労災保険の給付があります。
労災保険は、労働者を雇用している全ての事業主に加入が義務付けられており、労働災害の被害者救済のためには、労災保険の給付は必須のものとなります。
労災保険の申請を渋る会社も中には存在しますので、労災保険についてお困りのときは弁護士にご相談ください。

労災保険の給付は、労働災害の被害者の救済にとって不可欠の補償ですが、被害者が被った損害のごく一部しか填補されません。
労災保険の給付では、怪我や後遺障害・死亡に対する慰謝料が一切支払われませんし、後遺障害・死亡などの重大事故については、実際に被った損害額と給付額との差が非常に大きくなります。

労災保険の給付で補償されない部分の損害については、会社に対して賠償を請求することができます。
ただし、労災保険の給付については会社側の落ち度を問わないのに対し、会社への損害賠償請求では会社側に安全配慮義務違反または不法行為(使用者責任)が認められることが必要です。
会社側への損害賠償請求の可否を見極めるためには、専門的な判断が必要となりますので、労働災害に詳しい弁護士にまずはご相談いただくのがよいでしょう。

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?
35 素因減額とは?
36 会社の労災上乗補償制度の給付を受けた場合には、労災保険の給付や会社に対する損害賠償請求に影響がありますか?
37 下請業者の労働者が元請業者の現場で作業中に労働災害に巻き込まれた場合、元請業者に対して損害賠償を請求することはできますか?
38 労働災害の被害に遭ったら、労災病院・労災指定病院に行くべきですか?
39 労働災害の発生から解決までの流れはどのようになりますか?
40 弁護士にはどのタイミングで相談するのがよいでしょうか?
41 自分に過失があった場合でも、労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?
42 他の従業員の過失で怪我をしたら、損害賠償請求はどうなりますか?
43 退職しないで労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?