労働災害(労災)の被害で後遺障害が残った場合に、後遺障害が原因でそれまでに行っていた仕事ができなくなることがあります。
また、重篤な後遺障害が残った場合には、仕事が全くできなくなることもあります。

このような場合には、後遺障害がなければ将来得られていたはずの収入が減ってしまうとか、全く失われてしまうという損害が生じます。
このように、後遺障害によって将来の収入が減少・喪失してしまう損害を、逸失利益と言います。

後遺障害による逸失利益の金額は、被害者の年収額(若年の場合には将来の増収の折り込んだ賃金額)や後遺障害の内容・程度によって、大きく金額が異なります。
適正な障害等級の認定を得ることは、後遺障害による逸失利益の十分な補償を受けるに当たって必須項目となりますので、障害等級の認定については弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

後遺障害による逸失利益については、労災保険の障害(補償)給付による填補があるのですが、ごく一部が補償されるに過ぎません。
障害等級が重いものであるほど、実際の損害額と労災保険の給付額との差が大きくなります。
会社側に安全配慮義務違反や使用者責任が成立する場合には、会社側に対して損害賠償請求をすることができますが、その中で労災保険によって填補されない部分の逸失利益を請求することが可能です。
会社側に対する損害賠償の可否については、専門的な判断が必要となることが多いため、労働災害の問題に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?
35 素因減額とは?
36 会社の労災上乗補償制度の給付を受けた場合には、労災保険の給付や会社に対する損害賠償請求に影響がありますか?
37 下請業者の労働者が元請業者の現場で作業中に労働災害に巻き込まれた場合、元請業者に対して損害賠償を請求することはできますか?
38 労働災害の被害に遭ったら、労災病院・労災指定病院に行くべきですか?
39 労働災害の発生から解決までの流れはどのようになりますか?
40 弁護士にはどのタイミングで相談するのがよいでしょうか?
41 自分に過失があった場合でも、労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?
42 他の従業員の過失で怪我をしたら、損害賠償請求はどうなりますか?
43 退職しないで労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?