労働災害(労災)の発生について、会社側に安全配慮義務違反や使用者責任が成立する場合には、被害者側は会社側に対して損害賠償を請求することができます。
会社側に対して賠償請求できる主な損害の項目を、以下の表に整理しました。

労働災害の被害に遭われた場合には、労災保険からの給付を受けられます。
労災保険からの給付では、治療関係費は基本的に全額補償されますが、休業損害や逸失利益は一部しか補償されず、慰謝料は補償が一切ありません。
労災保険からの給付で足りない部分については、会社側に対して損害賠償を請求していく必要があります。

損害項目
説明
治療関係費 病院での治療費、整骨院での施術費などです。
通院交通費 通院のために必要となるタクシー代や、自家用車のガソリン代相当額です。
休業損害 怪我のために仕事ができなかったことによる損害です。
慰謝料 被害者が受けた精神的苦痛による損害です。傷害を負ったことによる慰謝料、後遺障害が残ったことによる慰謝料、死亡したことによる慰謝料があります。
逸失利益 後遺障害あるいは死亡によって、将来得られたであろう収入が減少・喪失したことによる損害です。後遺障害による逸失利益と、死亡による逸失利益とがあります。
装具・器具等購入費 義手・義足等の装具・器具等の購入が必要となることによる損害です。将来発生する交換費用の請求も可能です。
葬儀関係費用 死亡事故の場合に発生する葬儀・四十九日法要等の費用のうち、相当額を損害として請求することができます。
将来介護費 重篤な後遺障害のために介護が必要となった場合に、将来発生する介護の費用を損害として請求することができます。
弁護士費用 被害者側が負担する弁護士費用の一部を、損害として請求することができます。
遅延損害金 労働災害の発生時から、損害賠償額に対する年5%の遅延損害金を請求することができます。

以上のほかにも、ケースによっては、会社側に対して請求可能な損害項目があります。
損害賠償請求のことでご不明点がありましたら、労働災害に詳しい弁護士にご相談ください。

労災に関するQ&A一覧

No ご質問
1 労働災害とは?
2 労働災害の被害に遭った場合に受けられる補償は?
3 労災保険とは?
4 労災保険の申請に期限はありますか?
5 安全配慮義務とは?
6 安全配慮義務の具体的な内容は?
7 どのような場合に安全配慮義務違反と認められますか?
8 労災保険の給付内容は?
9 労災保険の給付を受けた場合でも、さらに会社に対して損害賠償を請求することはできますか?
10 会社が労災保険の申請をしてくれない場合は、どうすればよいですか?
11 後遺障害とは?
12 障害等級とは?
13 症状固定とは?
14 使用者責任とは?
15 どのような損害について賠償請求できるのか?
16 休業損害(休業補償)とは?
17 後遺障害による逸失利益とは?
18 後遺障害による逸失利益の計算方法は?
19 労働能力喪失率とは?
20 労働能力喪失期間とは?
21 ライプニッツ係数とは?
22 死亡による逸失利益とは?
23 稼働部分の死亡逸失利益の計算方法は?
24 年金部分の死亡逸失利益の計算方法は?
25 生活費控除率とは?
26 就労可能年数とは?
27 慰謝料とは?
28 傷害慰謝料とは?
29 後遺障害慰謝料とは?
30 死亡慰謝料とは?
31 会社側に弁護士費用を請求できますか?
32 損害賠償問題の解決方法は?
33 労働災害(労災)の問題を弁護士に依頼するメリットは?
34 過失相殺とは?
35 素因減額とは?
36 会社の労災上乗補償制度の給付を受けた場合には、労災保険の給付や会社に対する損害賠償請求に影響がありますか?
37 下請業者の労働者が元請業者の現場で作業中に労働災害に巻き込まれた場合、元請業者に対して損害賠償を請求することはできますか?
38 労働災害の被害に遭ったら、労災病院・労災指定病院に行くべきですか?
39 労働災害の発生から解決までの流れはどのようになりますか?
40 弁護士にはどのタイミングで相談するのがよいでしょうか?
41 自分に過失があった場合でも、労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?
42 他の従業員の過失で怪我をしたら、損害賠償請求はどうなりますか?
43 退職しないで労災保険の申請や損害賠償請求をすることはできますか?