後遺障害の等級認定手続は、労働災害で負った怪我・疾病の治療やリハビリ、レントゲンなどの画像撮影や検査などを経て、医師から症状の回復がこれ以上見込めないと判断されて、「症状固定」の診断を受けてから始まります。

後遺障害の等級認定手続には、医師が作成した具体的な後遺障害の内容が記載された「後遺障害診断書」、および、レントゲンなどの画像資料が必要となります。
全ての書類を揃えた上で労働基準監督署へ提出し、審査を経て後遺障害等級の認定を受けます。

後遺障害の等級認定手続においては、後遺障害診断書の内容次第で、適正な等級認定を得ることができるかどうかが決まります。
後遺障害診断書を医師に作成してもらう際には、できる限り具体的に、細かな点まで症状について伝えて、正確に記載してもらうようにすることが重要です。

後遺障害等級と労災保険からの給付

1 後遺障害等級第1級~第7級

労災保険から、障害(補償)年金・障害特別年金として、等級に応じて定められた日数分に給付基礎日額(労働災害の直前3か月間の平均給与日額)・算定基礎日額(労働災害の直前1年間の平均賞与日額)を乗じて得た額が、年金として毎年支給されます。
また、労災保険では、障害(補償)年金を受給することになった者に対し、1回だけ年金の前払として一時金を受け取る権利を認めています。
この前払一時金は、等級ごとに金額が定められています。
さらに、労災保険から、等級に応じて定められた金額の障害特別支給金が、一時金として支給されます。

障害(補償)年金・障害特別年金・障害特別支給金の額

障害等級 障害(補償)年金(上段)
障害特別年金(中段)
障害特別支給金(下段)
第1級 給付基礎日額の313日分
算定基礎日額の313日分
342万円
第2級 給付基礎日額の277日分
算定基礎日額の277日分
320万円
第3級 給付基礎日額の245日分
算定基礎日額の245日分
300万円
第4級 給付基礎日額の213日分
算定基礎日額の213日分
264万円
第5級 給付基礎日額の184日分
算定基礎日額の184日分
225万円
第6級 給付基礎日額の156日分
算定基礎日額の156日分
192万円
第7級 給付基礎日額の131日分
算定基礎日額の131日分
159万円

障害(補償)年金の前払一時金の額

障害等級 障害(補償)年金の前払一時金の額
第1級 給付基礎日額の200、400、600、800、1000、1200または1340日分
第2級 給付基礎日額の200、400、600、800、1000または1190日分
第3級 給付基礎日額の200、400、600、800、1000または1050日分
第4級 給付基礎日額の200、400、600、800または920日分
第5級 給付基礎日額の200、400、600または790日分
第6級 給付基礎日額の200、400、600または670日分
第7級 給付基礎日額の200、400または560日分

2 後遺障害等級第8級~第14級

労災保険から、障害(補償)一時金、障害特別一時金、障害特別支給金がすべて一時金として支給され、支給は1回のみです。
これらの支給額については、等級ごとに金額が定められています。

障害(補償)一時金・障害特別一時金・障害特別支給金の額

障害等級 障害(補償)一時金(上段)
障害特別一時金(中段)
障害特別支給金(下段)
第8級 給付基礎日額の503日分
算定基礎日額の503日分
65万円
第9級 給付基礎日額の391日分
算定基礎日額の391日分
50万円
第10級 給付基礎日額の302日分
算定基礎日額の302日分
39万円
第11級 給付基礎日額の223日分
算定基礎日額の223日分
29万円
第12級 給付基礎日額の156日分
算定基礎日額の156日分
20万円
第13級 給付基礎日額の101日分
算定基礎日額の101日分
14万円
第14級 給付基礎日額の56日分
算定基礎日額の56日分
8万円

労働災害に関する基礎知識についてはこちらもご覧下さい

●労働災害に関する基礎知識
●労働災害とは
●労災保険の申請手続
●労災申請の手続の流れ
●労働災害の被害に遭った時にかかるべき医療機関と制度の仕組み
●労働災害と後遺障害等級
●後遺障害が残った場合の補償について
●後遺障害等級を適正化するポイント
●労災保険の不支給決定に対する不服申立ての手続
●労働災害と損害賠償(労災保険の給付以外に受けられる補償)
●入院・通院時の損害賠償
●労働災害における慰謝料の請求
●休業中の補償について
●損害賠償金の計算方法
●過失相殺について