切れ・こすれ事故

切れ・こすれ事故について

切れ・こすれ事故は、労働災害で多く見られる事故類型の一つです。
例えば、丸のこ盤による手指の切断事故、クレーン作業で玉掛けワイヤーに手指を挟まれて切断した事故など、当事務所でこれまでに取り扱った実績がございます。
その他、チェーンソーなどの刃物による切れ、工具取扱中の物体による切れ、こすれ等がこの類型の事故となります。

切れ・こすれ事故の被害では、上肢・手指や下肢・足指の切断による後遺障害が残ったり、事故状況によってはお亡くなりになったりするケースもあります。

このような労働災害の被害に遭われた方への補償は、当然、全ての事故について適正に行われなければなりません。

労災保険の申請でお困りのときは

労働災害の被害に遭われた場合に、会社、元請がすんなり労災保険の適用に応じてくれればよいのですが、労災申請に協力してもらえないこともあり得ます。

このような場合には、会社、元請に対して、「労災かくし」が違法行為であることを警告しながら、労災申請への協力を強く要求していくことが考えられます。
一方で、労災申請の手続は、必ずしも会社、元請にやってもらう必要があるわけではありません。

労働基準監督署に対し、会社、元請が労災申請に協力してくれなかった事情等を記載した書面を添付して、被害者側で申請を行うことも可能です。

もっとも、上記のような対応を被害者側がご自身で行うことは、大きな手間と時間、精神的負担を伴うものです。
弁護士のサポートのもとに対応されることをお勧めいたします。

会社、元請に対する損害賠償請求が可能なケースも

切れ・こすれ事故については、上記のように、後遺障害が残ったり、死亡事故となったりすることもあり得る事故類型です。
そのため、被害者に対しては、相応の補償（数百万円から数千万円）がなされるべきケースが少なくありません。

また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反」（労働者が安全で健康に働くことができるように配慮する義務＝安全配慮義務に違反したこと）や「不法行為責任」（労働災害の発生が企業の活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任）などを根拠として会社、元請に対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多いです。

しかし、労働災害の被害者の方がこのことを知らずに、労災保険の給付を受けただけで終わりとしてしまっている例も多々あるのが実情です。

他の従業員のミスで怪我をした場合の損害賠償はどうなる？

「同じ現場で作業をしていた他の従業員のミスで、切れ・こすれ事故の被害に遭った」というケースも少なくありません。
このような場合、責任は誰にあるのでしょうか？

当然ながら、切れ・こすれ事故を引き起こした他の従業員に落ち度があります。
しかしながしかしながら、労働災害の現場における「責任」は、使用者（＝会社）に対して追及され、損害賠償請求が行われることが大半です。
これを「使用者責任」（民法７１５条）と言い、会社に対して損害賠償を請求する際の法的根拠となります。

会社、元請に対して責任を追及するために

切れ・こすれ事故の被害に遭われた場合には、会社、元請に対する損害賠償請求が可能なケースも多々あります。
上記のように、同じ現場で作業していた他の従業員のミスで切れ・こすれ事故が発生した場合には、「使用者責任」（民法７１５条）を根拠として、会社に対して損害賠償を請求することができます。
また、会社・元請において、安全性の高い機械・設備を選択していたか、安全装置を設置するなどの措置を講じていたか、安全のための教育・周知徹底を行っていたかなどの点で、会社、元請の安全配慮義務違反による損害賠償責任を追及することが考えられます。

しかしながら、会社側とのやり取りはとても複雑で、殺伐としたものとなることが多いと言えます。
初めて労働災害の被害に遭われた方がそのような交渉をご自身で行うことは困難を極めますし、事故状況に関する資料の収集も容易ではないのが通常です。

また、会社側に対して請求すべき損害額の計算も複雑で困難を伴います。
どのような損害の賠償を請求できるのか、慰謝料がいくら認められるのか、仕事ができなくなったことに対する補償の計算はどのようにするのか、将来の介護費は請求できるのかなど、専門的な知識が必要となります。

ほとんどの方にとって、労働災害の被害に遭うこと自体が、初めての経験であると存じます。
ご自身では対応の仕方がよく分からないことが多く、どのように会社側との交渉を進めればよいかが非常に悩ましく、お忙しい中で大きなストレスを感じておられることも多いと存じます。

また、会社側の対応も、「被害者（＝あなた）に落ち度があった」として、会社側の責任を一切否定してきたり、過失相殺を主張してきたりするケースが多々あります。
そのような場合にも、労働災害に強い弁護士であれば、あなたの味方となって、適切な主張・立証を展開して争っていくことができます。

労働災害に詳しい弁護士は、適正な損害賠償額の算定や会社側との交渉の手法についても熟知しており、このような複雑なやり取りは手慣れていますから、ご依頼いただくことでこれらの手続を一挙に担い、スピーディーに解決まで進めていくことができます。
切れ・こすれ事故に遭われた方やご遺族の方は、まずは労働災害に精通した弁護士にご相談いただくことをお勧めします。