プレス機による労災事故について

プレス機による労災事故は、製造業・加工業等で数多く発生しています。
特に挟まれ事故・巻き込まれ事故が多数発生しており、腕・手・指や足等を切断することとなったり、死亡事故に至ったりすることもあります。

プレス機には、通常、安全装置がついています。
しかし、安全装置が取り外されている、安全装置がOFFにされている、安全装置が故障している、プレス機が誤作動を起こしたなどの事情により、労災事故が発生してしまうことがあります。
あるいは、作業時におけるプレス機の操作ミスや連携ミスにより、労災事故が発生してしまうことがあります。

労災保険による補償

労災事故の被害に遭った場合、労災保険による補償を受けることができます。
労災保険の給付には、治療費(療養補償給付)、休業損害(休業補償給付)、後遺障害が残った場合の後遺障害逸失利益(障害補償給付)、介護が必要となった場合の介護費(介護保障給付)、死亡した場合の死亡逸失利益(遺族補償給付)、葬儀費用(葬祭給付)などがあります。

プレス機による挟まれ事故・巻き込まれ事故では、次のような後遺障害が残る可能性があります。

【上肢】

障害等級
障害の内容
1級の6 両上肢をひじ関節以上で失ったもの。
1級の7 両上肢の用を全廃したもの。
2級の3 両上肢を手関節以上で失ったもの。
3級の5 両手の手指の全部を失ったもの。
4級の4 一上肢をひじ関節以上で失ったもの。
4級の6 両手の手指の全部の用を廃したもの。
5級の2 一上肢を手関節以上で失ったもの。
5級の4 一上肢の用を全廃したもの。
6級の5 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの。
6級の7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失ったもの。
7級の6 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失ったもの。
7級の7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの。
7級の9 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。
8級の3 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失ったもの。
8級の4 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの。
8級の6 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの。
8級の8 一上肢に偽関節を残すもの。
9級の8 一手の母指又は母指以外の二の手指を失ったもの。
9級の9 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの。
10級の6 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの。
10級の9 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの。
11級の6 一手の示指、中指又は環指を失ったもの。
12級の6 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの。
12級の8の2 一手の小指を失ったもの。
12級の9 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの。
13級の4 一手の小指の用を廃したもの。
13級の5 一手の母指の指骨の一部を失ったもの。
14級の6 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの。
14級の7 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの。

【下肢】

障害等級
障害の内容
1級の8 両下肢をひざ関節以上で失ったもの。
1級の9 両下肢の用を全廃したもの。
2級の4 両下肢を足関節以上で失ったもの。
4級の5 一下肢をひざ関節以上で失ったもの。
4級の7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの。
5級の3 一下肢を足関節以上で失ったもの。
5級の5 一下肢の用を全廃したもの。
5級の6 両足の足指の全部を失ったもの。
6級の6 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの。
7級の8 一足をリスフラン関節以上で失ったもの。
7級の10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの。
7級の11 両足の足指の全部の用を廃したもの。
8級の5 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの。
8級の7 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの。
8級の9 一下肢に偽関節を残すもの。
8級の10 一足の足指の全部を失ったもの。
9級の10 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの。
9級の11 一足の足指の全部の用を廃したもの。
10級の7 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの。
10級の8 一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの。
10級の10 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの。
11級の8 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの。
12級の7 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの。
12級の10 一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの。
12級の11 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの。
13級の8 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの。
13級の9 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの。
13級の10 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの。
14級の8 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの。

会社に対する損害賠償請求

労災事故の発生について、会社に安全配慮義務違反または使用者責任が成立する場合には、会社に対して慰謝料・損害賠償を請求することができます。
損害賠償の一部は労災保険によって補償されますが、慰謝料(精神的苦痛に対する損害賠償)は労災保険では全く補償されないため、十分な被害救済のためには会社に対する損害賠償請求が非常に重要となります。

自分ひとりで作業中に怪我をした場合でも、会社に安全配慮義務違反があれば、会社に対して慰謝料・損害賠償を請求することができます。

【安全配慮義務の内容】
設備・作業環境
①施設、機械設備の安全化あるいは作業環境の改善対策を講ずる義務
②安全な機械設備、原材料を選択する義務
③機械等に安全装置を設置する義務
④労働者に保護具を使用させる義務
人的措置
①安全監視人等を配置する義務
②安全衛生教育訓練を徹底する義務
③労働災害の被害者、健康を害している者等に対して治療を受けさせ、適切な健康管理、労務軽減を行い、必要に応じ、配置換えをする義務
④危険有害業務には有資格者、特別教育修了者等の適任の者を担当させる義務

他の従業員(加害者)の不注意によって怪我をした場合には、会社に使用者責任が成立すれば、会社に対して慰謝料・損害賠償を請求することができます。

【使用者責任の要件】
不法行為責任の要件(使用者責任の前提として、加害者に不法行為責任が成立することが必要です)
①加害者に故意または過失が存在すること
②被害者の権利を侵害したこと
③被害者に損害が発生したこと
④加害者の行為と被害者の損害との間に因果関係が存在すること
使用者責任の要件
①加害者と会社との間に使用・被用の関係が存在すること
②加害者の行為について不法行為責任が成立すること
③被害者の損害が会社の事業の執行について加えられたものであること

プレス機による労災事故は、自分ひとりで作業中に発生することも多いです。
このような場合、会社は安全配慮義務違反を否認してくることが少なくありません。
しかし、安全カバーの取り付けの有無、安全装置の設置・機能の有無、機械使用に必要な資格・技能の有無、日頃の安全衛生教育の実施の有無など、会社には様々な安全対策が求められます。
会社が否認していても、安全配慮義務違反が成立することは多々ありますので、労災事故に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護士にご相談ください

労災事故の被害についてお困りの方は、専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所では、労災事故の事案に関する取扱経験・解決実績が豊富にございます。
ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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