高次脳機能障害とは

労働災害の被害で、頭部をぶつけて激しい衝撃を受けることにより、高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)という後遺障害を発症することがあります。

高次脳機能障害は、脳へのダメージによって、失語・失行・失認や、記憶障害・注意障害・行動障害などの症状が表れる後遺障害です。
記憶力や判断力、注意力の低下によって、仕事や日常生活に大きな支障をきたすことが考えられます。

また、高次脳機能障害では、精神的側面にも影響が生じ、仕事や日常生活に支障が生じることもあります。
例えば、感情の起伏が激しく怒りっぽくなる、感情のコントロールができなくなるなどの症状です。

高次脳機能障害の場合の診断名としては、そのまま「高次脳機能障害」と表記される場合もあれば、「脳挫傷(のうざしょう)」や「脳挫傷後遺症(のうさしょうこういしょう)」、「びまん性軸策損傷(びまんせいじくさくそんしょう)」などと記載されることが多いです。

高次脳機能障害を発症した場合、適正な障害等級の認定と補償を受け取るためには、脳の損傷や症状の内容・程度について、複雑な立証が必要となるケースが多いです。
お早めに労働災害と高次脳機能障害に精通した弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

高次脳機能障害の障害等級

障害等級
認定基準
1級3号 身体機能は残存しているが重篤な痴呆などがあるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的な介助を要するもの。
2級2号の2 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲が自宅内に限定されている。
また、身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの。
3級3号 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの。
5級1号の2 単純くり返し作業などの極めて軽易な労務に限定すれば、一般就労も可能。
ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。
このため、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの。
7級3号 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから、一般人と同等の作業を行うことができず、軽易な労務にしか服することができないもの。
9級7号の2 通常の就労に服することができるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの。
12級12号 通常の労務に服することができるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの。
14級9号 通常の労務に服することができるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの。

労働災害の被害に遭われた場合、労災保険の給付以外にも、会社側に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
損害賠償請求の問題につきましても、労働災害に精通した弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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