1 労災隠しとは?
「労災隠し」とは、会社が労働災害(労災)の発生を隠蔽(いんぺい)するために、法律で提出が義務付けられている「労働者死傷病報告」を故意に提出しなかったり、虚偽の内容(労災の発生状況や原因について事実と異なる内容)を記載して提出したりすることを指します。
会社が労災隠しをする理由としては、次のような動機が挙げられます。
○労働基準監督署による事故原因の調査や、法令違反に対する行政指導・刑事告発を免れるため。
○会社のイメージ低下や、対外的な評判への悪影響を懸念するため。
○労災保険の「メリット制」の適用により、労働災害の発生率に応じて労災保険料が増額(または還付金が回収)されるのを防ぐため。
労災隠しは、労働安全衛生法(安衛法)に違反する犯罪行為であり、発覚した場合には同法に基づき、50万円以下の罰金に処せられることがあります。
悪質なケースでは、厚生労働省の方針として直ちに書類送検の対象とされることがあります。
また、建設業においては他法令違反として監督処分の対象となることがあります。
労災隠しについては、こちらもご覧ください。
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2 労災隠しが起きたらどこに連絡すべき?
労災隠しが起きたときに、第一に連絡すべきところは、労働基準監督署(労基署)です。
労基署に対する労働者(被災労働者)からの相談は、労災隠しが発覚する契機としてよく挙げられています。
労災隠しが起きたら、まずは労基署に相談するとよいでしょう。
例えば、労災保険の給付請求をしようとしたときに、会社の証明が得られない場合であっても、被災労働者は最寄りの労基署に相談することで給付請求を行うことができます。
労基署は証明がない請求書であっても受理し、会社に証明拒否理由書を提出させるなどの対応を採ります。
また、被災労働者は、会社に法律違反の事実がある場合、労基署に申告して是正を求めることもできます。
これを「申告監督」と呼び、労基署は必要に応じて調査や臨検を行います。
労災隠しが起きた場合の相談先としてはほかに、都道府県の労働局があります。
都道府県の労働局には、労災請求やセクシュアルハラスメントによる精神障害の相談など、広範な相談窓口が設置されています。
専門の担当者が相談に応じる体制も整備されています。
さらには、労災隠しが起きたら、弁護士に連絡・相談して、対応のアドバイスを受けるということも考えられます。
労災隠しをするような会社は、労災の事実を否定してくる可能性が高いといえますし、証拠隠滅を行う可能性も否定できません。
そのため、事故現場の写真、タイムカード、業務メール、同僚の証言など、労災を証明できる客観的な証拠を残しておくことが重要ですので、労災に詳しい弁護士からアドバイスを受けておくことが重要です。
3 労災の報告義務に期限はある?
会社は、労働者が業務中に負傷し、死亡または休業した場合には遅滞なく報告書を提出しなければなりません。
労働者が労災保険の給付請求を行ったとしても、会社の報告義務は免除されず、給付請求とは別に、冒頭で挙げました「労働者死傷病報告」を行うことが義務付けられています。
労働者死傷病報告の提出期限は、被災した労働者の休業日数によって異なります。
休業が4日以上の場合は「遅滞なく」提出する必要があり、休業が4日未満(3日以下)の場合は、3か月ごとの期間に区切って取りまとめ、それぞれの期間の最後の月の翌月末日までに提出しなければなりません。
死亡事故などの重大事故の際には、直ちに電話連絡を行うものとされています。
○休業4日未満の場合(休業がない場合を含む)の期限
1月~3月分:4月末日まで
4月~6月分:7月末日まで
7月~9月分:10月末日まで
10月~12月分:翌年1月末日まで
4 労災に関するお悩みを弁護士に相談するメリット
会社が労災を認めない、または隠蔽しようとするような労災隠しが起きた場合、被災労働者ご本人が一人で対応するのはとても困難であるといえます。
ここで弁護士に相談するメリットは、専門的知見に基づく適正な補償・救済の実現、証拠収集のサポート、および会社との交渉や各種手続の円滑な進行にあります。
特に労災隠しが起こったような紛争性の高い事案では、早期に弁護士が関与することで、証拠収集をはじめとする的確な対応が可能となります。
また、労災事案は労災保険の給付請求手続と損害賠償の請求手続が密接に関連しています。
この点で、弁護士に相談・依頼することで、労災保険の認定と損害賠償の双方の視点から事実関係を整理して適切な見通しを立て、専門的な分析に基づく対応が可能になります。
さらに、会社に対する損害賠償請求においては、安全配慮義務の内容確定や賠償額の計算には専門知識が必要ですので、弁護士の関与により、より良い解決や妥当な水準での和解が期待できます。
加えて、労災隠しへの法的対応として、労災隠しは犯罪行為ですから、弁護士への相談を通じて、会社による不適切な対応(報告の怠りや虚偽報告)に対し、法令に基づく適切な是正を促すことが可能です。
5 労災に関するお悩みは当事務所にご相談ください
労災に関するお悩みを弁護士に相談することで、複雑な労災保険の給付請求手続、損害賠償の請求手続及び示談交渉や裁判手続の一連の対応、証拠の確保、そして法的に正当な補償の獲得に向けた多角的な支援を受けることができます。
特に労災隠しが起きた紛争性の高い事案では、紛争解決の専門家である弁護士を介在させることが、迅速かつ公正な救済への近道となります。
労災隠しが起きた場合の対応を含め、労災に関するお悩みは、まずは一度当事務所にご相談ください。
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