1 運送業における労働災害

運送業は、重い荷物の積み下ろしや長距離の運転を伴うことから、労働災害(労災)発生の危険が高い業種です。
統計によると、特に荷物の積み下ろし時の転倒・転落や動作の反動・無理な動作による労働災害が多く発生しています。
また、交通事故も相当程度発生しており、毎年一定数の死亡事故が発生しています。

【関連ページ】
●運送業における墜落・転落事故

2 労災申請について

労働災害が発生した場合には、労災申請を行い、各種の労災保険給付を受けることになります。
その前提として、会社は労働災害の発生について労働基準監督署に報告する義務があります。

しかし、会社としては、労災保険の適用を受けることで、労働基準監督署の調査・監督を受け、保険料を増額されるといったデメリットがあります。
そのため、会社が労災申請をしないよう指示してきたり、労災申請の事業主証明欄への記入を拒否してきたりする可能性があります。

このような場合の対応として、まず、会社に対して「労災かくし」が違法であることを警告し、労災申請への協力を強く要請していくことが考えられます。
また、労災申請は会社に行ってもらう必要は無く、被害者側で行うことも可能です。
この場合、労働基準監督署に対し、会社が労災の証明をしてくれなかった事情等を記載した書面を提出することになります。

もっとも、これらの対応を被害者側がご自身で行うことには、多くの時間や労力、精神的な負担が伴います。
そのため、労災申請についてお困りの場合には、専門家である弁護士のサポートのもとで対応されることをお進めいたします。

3 慰謝料・損害賠償について

労働災害が認定された場合には、被害者は、各種の労災保険給付を受けることができます。

しかし、労災保険で補償されるのは、被害者が被った損害の一部に過ぎません。
被害者が被った損害のうち、特に大きな比重を占めるのは、慰謝料や逸失利益(後遺障害が残った場合や死亡事故の場合)です。
労災保険は、治療費は全額補償してくれますが、慰謝料の補償は一切ありませんし、逸失利益の補償はごく一部にとどまります。
また、休業損害も全額補償されるわけではありません。

そこで、被害者が十分な補償を受けるためには、会社側に対する損害賠償請求を行う必要があります。
労働災害の発生について、会社側に安全配慮義務違反などの過失があれば、会社側は損害賠償義務を負います。

会社側としては、労働災害の発生は被害者の不注意などの原因によるものであって、会社側には過失がないであるとか、過失相殺による大幅な減額を主張してくる可能性があります。

しかし、実際には、安全な業務体制を整えていなかったなどの点において、会社側の過失が認められる場合が多いです。
弁護士のサポートのもとで適切な主張・立証を行っていくことにより、会社側から慰謝料・逸失利益等についても賠償を受けられる可能性が高いといえます。

4 弁護士にご相談ください

以上のように、労働災害に遭われた場合、労災申請の手続きや、労災保険による給付を受けられない部分についての損害賠償請求といった問題に対応していく必要があります。
これらの問題に適切に対応していくためには、早い段階で専門家である弁護士に相談いただくことをお勧めいたします。

また、弁護士にご依頼いただくことにより、労災申請の手続きや損害賠償請求について、ご自身の負担を軽減しながら適正な解決を図ることができます。

当事務所では、労働災害に関して多数のご相談・ご依頼を取り扱ってきた豊富な実績がございます。
労働災害についてお悩みでしたら、ぜひ一度、当事務所までご相談いただければと存じます。

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●業種別の労働災害
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