貨物取扱業における労働災害

貨物取扱業では、労働災害(労災)が多発しています。

貨物取扱業では、重量物の運搬・積載、フォークリフト・ブルドーザー・トラクターショベルなどの運搬荷役機械、高所での荷役作業など、危険要素が多々あります。

事故類型としては、積荷などの崩壊・倒壊事故、フォークリフト・ブルドーザー・トラクターショベルなどに激突される事故や挟まれる事故、荷役作業中の墜落・転落事故、落下物に当たる事故、その他、様々な事故が発生しています。

労災申請について

労働災害が発生した場合、会社は労働基準監督署に報告する義務があります。
しかし、会社としては、労災保険の適用を受けることによって、労働基準監督署の調査・監督を受けるとか、保険料を増額されるなどのデメリットがあるため、労災保険の適用を回避したいという心理があります。
そのため、会社が労災申請をしないように言ってきたり、労災申請の事業主証明欄の証明を拒否してきたりすることがあり得ます。

このような場合には、会社に対して「労災かくし」が違法であることを警告し、労災申請への協力を強く求めていくことが考えられます。
一方で、労災申請は、必ずしも会社にやってもらう必要はありません。
労働基準監督署に対して、会社が証明をしてくれなかった事情等を記載した文書を添付し、被害者側で労災申請の手続を行うことも可能です。

しかし、これらの対応を被害者側がご自身で行うことは容易ではありません。
多くの手間と時間や精神的負担が伴うことと思われます。
労災申請に関してお困りの場合には、弁護士のサポートのもとに対応されることをお勧めいたします。
お早めに弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

慰謝料・損害賠償について

労働災害の被害に遭われた場合、労災保険の給付を受けることができます。
しかし、労災保険は、被害者が被った損害のごく一部を補償するものに過ぎません。

労働災害の被害者が被った損害のうち、慰謝料と逸失利益(後遺障害が残った場合や死亡事故の場合)が特に大きな比重を占めます。
しかし、労災保険では、治療費は全額補償を受けることができるのが原則であるものの、慰謝料についてはまったく補償されず、逸失利益についてもごく一部の補償にとどまります。
その他、休業損害などの損害も全額補償には不足します。
貨物取扱業における労働災害では、後遺障害や死亡事故など重大な事故となることが少なくありません。
そのため、被害者が実際に被った損害と労災保険の補償額との差が、相当高額となるケースが多々あります。

そこで、労働災害の被害者が被った損害に対して十分な補償を受け取るためには、会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求していくことが必要です。
労働災害の発生について会社側に安全配慮義務違反などの過失がある場合には、会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求することが可能です。
一方で、会社側に対して慰謝料などの損害賠償を請求できる事案であるにもかかわらず、労災保険の給付だけで済ませてしまっているケースも多く見られます。
慰謝料などの損害賠償は、被害者側の今後の生活を支える大事な補償です。
簡単に労災保険の給付だけで終わりにしてはいけません。

この点、会社側の態度として、労働災害が発生したのは被害者の不注意が原因であるとして、会社側の責任を否認するとか、賠償額の大幅な減額を主張するなどの例も少なくありません。
しかし、労働災害が発生した以上は、会社側の過失が相当関与しているのが通常です。
弁護士のサポートのもとに適切な主張・立証を展開すれば、慰謝料などの損害賠償を勝ち取ることができる可能性は十分にあります。
会社側の言い分に惑わされるのではなく、まずは弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護士にご相談ください

以上のように、労働災害の被害に遭われた場合には、労災申請の手続、慰謝料などの損害賠償の請求という問題に対応していく必要があります。
これらの問題については、まずは労働災害に強い弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

そして、弁護士にご依頼いただくことで、労災申請の手続、会社側との示談交渉・訴訟などの複雑な問題について、適正な解決を図ることが可能となります。
当事務所の弁護士は、これまでに、労働災害に関するご相談・ご依頼を多数取り扱って参りました。
労働災害の被害のことでお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。

業種別の労働災害についてはこちらもご覧下さい

●業種別の労働災害
●製造業
●建設業
●貨物取扱業
●農業・農林
●鉱業
●その他の業種