労働災害で被害者がお亡くなりになった場合、被害者ご自身の無念やご遺族の悲しみは想像を絶するものです。
このような精神的苦痛に対する損害賠償を死亡慰謝料と言います。
死亡慰謝料は、労災保険からは一切補償されません。
しかし、会社側に不法行為責任や安全配慮義務違反、使用者責任が認められる場合には、会社に対して死亡慰謝料を含めた損害賠償を請求することができます。

死亡慰謝料には、①お亡くなりになられた被害者ご自身の慰謝料と、②ご遺族の慰謝料の2種類のものが含まれています。

①のお亡くなりになられた被害者ご自身の慰謝料については、ご遺族が慰謝料請求の権利を相続し、会社側に対して請求していくことになります。
②のご遺族の固有の慰謝料については、法律上、被害者の父母、配偶者、子に慰謝料請求の権利が認められるものとされています。
また、これらの方々以外でも、内縁関係にある方や兄弟姉妹、孫などの方のうち、被害者と特別に親密な関係にあったと認められるときには、慰謝料請求の権利が認められることがあります。

訴訟を提起した場合に認容される死亡慰謝料の標準額は、次の表のとおりとなります。

被害者
死亡慰謝料
一家の支柱 2800万円
母親・配偶者 2500万円
その他 2000万円
~2500万円

※一家の支柱とは、その世帯が主として被害者の収入によって生計を維持している場合のことを言います。
※上記は、被害者ご自身およびご遺族の慰謝料の合計の標準額となります。

会社側の落ち度が重大である場合、事故状況が悪質である場合、会社側の事故後の対応が極めて不誠実である場合などには、上記の標準額よりも増額されることがあります。

労働災害の被害者のご遺族の中には、労災保険からの給付だけで終わりとしてしまっていて、会社側に対して死亡慰謝料などを請求できるケースが多々あることをご存じでないという方も少なくありません。
労働災害でご家族を亡くされた方は、一度、労働災害に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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